陸前高田市光照寺に設けられた慰霊施設には、高さ1メートル、幅80センチほどの大位牌が祀られています。位牌には、東日本大震災で亡くなられた光照寺檀徒303名のお名前が刻まれています。巡礼で共に訪れた方は、「知っている人の名前が何人も記されているので、いろいろ思い出してしまって、まっすぐにお位牌を拝むことができない」とつぶやいていらっしゃいました。
先日、津波研究家の木村さんとお会いしました。明治三陸津波は明治29年(1896)に起こり、死者・行方不明者21,959人、そのうち木村さんの地元唐丹町は1,684名と報じられています。
その数は本当に正しいのか。木村さんは、もう一度洗い直すことにしました。
研究者仲間からは、「明治の津波被害者数など今となっては確定できないので関わらない方がよい。被害者数が数百増えたところで、今に影響を及ぼすことなどまずない」と諭されたそうです。
木村さんは、洞雲寺大位牌、盛岩寺の掛け軸三幅、真称寺過去帳という根本資料のみを使い、被害者数を再集計しました。すると、従来の資料には無い名前を300人以上見出しました。
粘り強く調査を続ける木村さんの思いとは、「ひとりひとりの命を大切にする」ということ。数字の「1」とは単なる記号ではなく、或る方の人生の象徴です。喜んだり、怒ったり、哀しんだり、楽しんだりといった人生が凝縮されている。大位牌に刻まれた名前も同様です。
「ひとりひとりの命を大切にする」ということ、大切に温め味わっていきたい言葉です。
私たちが当然の如く享受してきた、物質的に恵まれた暮らしは、さまざまな「無理」 の上にかろうじて成り立っていたものであることが、この度の大震災や原発事故によってあらわになりました。困難な状況を迎えた現在、生活への不安、自らの生命への不安が強く強く意識されるようになりました。そのような「不安」な時代、成就院が少しでも檀家の皆様、地域の皆様のこころのやすらぎに少しでもお役に立てるよう、「やすらぎ修行会」を開くことといたしました。成就院をご縁として多くの方々がつながり、お互いに元気を与えあい、少しでもホッとして頂けたらと思います。多くの方々のご参加をお待ちいたしております。
■日時:毎月21日(御大師さまの御縁日)18:30~19:30
■服装:普段着でかまいません
■会費:300円 *子供は無料です。
*会費は、義捐金として寄付します。
■内容:プチ法話(5分) 光明真言(30分)
以後、皆でおかゆをいただき歓談致しましょう。
■連絡先:参加ご希望の方は前日までに電話(03-3831-2534) で ご連絡を頂きたく存じます。
*椅子もご用意いたします。正座でなくともかまいません。楽な姿勢でお唱え下さい。